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執筆者の写真三田市保護司会広報部

2020年県知事賞受賞作品

  「優しい心の目」 

               三田市立すずかけ台小学校  西中 沙妃


私の住んでいる地域は少し田舎です。田んぼや畑が広がり、約五十の家族が暮らす地域です。地域にある神社を中心に、地域住民がひとつになって取り組む行事がたくさんあります。

例えば秋祭りです。宵宮、本宮と二日間にわたってお祭りをします。獅子舞が、地域にある家やお店をまわったり、神社と御旅所で奉納神楽をします。獅子舞をまわしているのは、私たちの父や祖父たちです。獅子舞が来るとお礼に振るまいをします。

その時に、普段は会わないご近所のお父さんやおじさんたちに出会います。

「何年生になったの。」

から始まって、お父さんたちが小学生だった頃の話を聞いたりすることもあります。ランドセルじゃんけんをしたり、いたずらをしてご近所のおじさんから叱られた話などを聞き

ます。

 私も神社などで遊んでいて叱られたり、注意を受けたことが何回かあります。

 地域で遊んでいると、近くに住んでいる人に必ず出会います。家の周りの田んぼや畑で挨拶もします。私は、少し照れくさくてできなかった時期もありました。父からは、

「どこの子だったけ?大きくなったな。という感覚で畑から子どもたちのことを見てるよ。」

と聞いたことがあります。地域の大人の集まりで、子どもたちのことが話題になったりすることもあるそうです。

 水路でどんこやザリガニ釣りをしている弟は、よく話題になるそうです。そんな話を聞くと、私たちは外で遊んでる時も、地域の大人たちに気にかけてもらってるんだなと感じました。そのことを父に話すと、

「ここの地域は三世帯同居が多い。祭りや消防団、地域のいろんな行事を通じて、祖父母・父母世代とそれぞれの世代で出会う機会も話す機会も多くて、つながりがあるからなあ

。」と教えてくれました。

 同居している障害のある大叔母も地域の人にたくさん助けられています。大叔母が困っていると、地域の人が、

「だいじょうぶか?どうしたんや?」

と優しく声をかけてくれるそうです。時には、

家まで一緒についてきてくれることもありました。そんな時、父は

「ありがとうございました。また何かあったら、今日みたいに声をかけてやってください。」

と優しく言います。

 地域の見守りは、私たち子どもたちにだけ当てはまるものではなくて、ご近所のおじいちゃんやおばあちゃんたち皆にあてはまるものなんだなと思いました。母からも、

「遊んでいる最中に、畑や田んぼで倒れてる人を見つけるかもしれないよ。」

という言葉を聞いて、はっ!としました。母の言葉を聞いて私たち子どもも周りを見て、様子がおかしいな、変だな、と感じたら誰かに伝えないといけないなと思いました。

 誰かが何か悪いことをするんじゃないかという疑いの心をもって周りを見ると、悪いところばっかりに目が行くかもしれません。父や母から話を聞いて私は、誰かが困ってないかなと周りを心配するような、優しい心の目で周りを見ることができる人になりたいです。

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