神戸保護観察所長 横地環
三田市保護司会の皆様におかれましては、平素より、罪を犯した人の立ち直りを支える保護観察・生活環境調整の処遇活動、そして犯罪防止活動等の地域活動にご尽力をいただき、深く感謝申し上げます。
令和3年3月に開かれた第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)では、京都府内更生保護関係者、すなわち保護司、更生保護女性会、BBS、保護観察所職員(私はその一人)等が力を合わせ、更生保護活動の発信や「おもてなし」に取り組みました。
会期中に開かれた世界保護司会議の席上で、「京都保護司宣言」が採択されました。これは、日本の保護司をはじめとした、犯罪者の社会復帰を支える地域ボランティアの活動を世界に広めようとする、初の国際的な文書です。なぜ、宣言という形をとったのでしょうか。
日本の保護司は、保護観察を受ける人に対し、「(○○さんの)担当保護司」として地域で継続的に立ち直りを支えます。無給のボランティア活動です。同じ地域住民という立場で、罪を犯した人を隣人として受け入れ、親身に接します。
このような地域ボランティアとしての保護司は、日本では当たり前に見えますが、世界的には希有な存在です。一世紀以上に渡る保護司の活動が、日本の安全な地域作りに大きく貢献してきたことを踏まえ、宣言という形で世界に改めて発信したのです。
立ち直りには段階があり、犯罪が人生の一部だったような人の場合、一足飛びに犯罪と無縁の生活ができることはまれで、最初は専門的な治療や試行錯誤を要する人も多いでしょう。一方で、立ち直りの最終的な目標が、普通の人として周囲と仲良く穏やかに暮らす姿とすれば、地域の一員である保護司が、立ち直ろうとする人を地域に結びつける方向で支えるのは、最強最高の支援ともいえるでしょう。
残念なことに、その保護司が全国で減少傾向にあります。今後、ここ兵庫県においても、皆様と協力し、保護司の数を増やしたいと思います。皆様のご理解とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
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